週刊ダイヤモンドの欺瞞

9月8日発売の週刊ダイヤモンド9/13号に、「過払い金の六割が報酬に化ける! 高すぎる弁護士報酬の実態」とのコラムが掲載されていました(この他にも、弁護士の収入に関する記事がありましたけれども、ここでは割愛)。
このコラムでは、ある弁護士事務所の報酬額として、
  a現在の借金額                  475万8803円
  b引き直し計算後の借金額             162万1996円
  c引き直し計算による借金減少額(a−b)     −313万6807円
  d過払い金返還額                 121万2500円
  e弁護士報酬合計額(着手金、成功報酬)        77万2990円
という例をもとに、e弁護士報酬合計額が、d過払い金返還額の6割以上であることから、任意整理に関する弁護士報酬は高すぎるという結論を導いています。
このコラムでは、あたかも依頼者の経済的利益がd過払い金返還額のみであるにもかかわらず、その半分以上が弁護士報酬となるかのようにミスリードさせる文章になっていますが、上記事例では、依頼者には、d過払い金返還額のほかに、c引き直し計算に借金の減少という経済的利益が発生しています。
それにもかかわらず、上記コラムは、あえてcを無視し、弁護士が依頼者の経済的利益の半分以上を報酬として掠め取るかのような印象を与える表現を用いており、極めて悪質なものであると考えます。
ま、この号では、貸金業法改正に対する否定的な論考も掲載されていますから、この雑誌自体が貸金業者寄りのものだということかもしれませんがね。