イソ弁によるボス弁の監視義務

 判例タイムズ1249号に、弁護過誤に関し面白い判決(大阪地裁平成18年12月8日判決)が掲載されていた。
 事案は、ボス弁が受任した後、書面の提出を怠った結果、敗訴してしまった事案について、依頼者が損害賠償を求めたというもの(代理人橋下徹センセイとのこと)ですが、ボス弁とともに、イソ弁(上記受任後に司法修習を終えその事務所で執務開始したが、敗訴判決確定前に退所)も共同被告とされているところが特徴。
 で、注目すべきところは、(1)イソ弁と依頼者との間にも黙示的な委任契約の成立を認めたところと、(2)イソ弁は退所後もボス弁の訴訟活動を監視すべき義務があるとしたところ。
 将来、弁護士志望の修習生や、今後独立を考えているイソ弁の先生方(特にボスの訴訟追行姿勢に疑問を感じている人)は、この判決の存在に注意しておく必要があるかと思います。
 なお、本件では結局、ボス弁・イソ弁の義務違反と損害との間に因果関係は認められないという理由により請求棄却判決が下されていますが、原告は控訴したそうです。